2013年04月19日 17:00 弁護士ドットコム
未成年に酒を提供したとして、神奈川県相模原市にある居酒屋が風営法違反の疑いで、神奈川県警の家宅捜査を受けた。報道によれば、この居酒屋は、一部の未成年の間で「(未成年でも)酒が飲める店」としてよからぬ噂が広まっていたという。これが事実であれば、その責任は明らかに居酒屋にあるだろう。
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いまは入学式も終わって、そろそろ新歓コンパが盛んになる季節。現役で合格した新入生の多くはまだ18歳か19歳だ。先輩が美味しそうに飲むビールを見て、つい「20歳です」と嘘の申告をし、それを信じた店側が、酒類を提供してしまう事例が起きぬともいえない。そんな場合でも法に触れるのであろうか。
店側は身分証の提示などをどこまで厳密に求めるべきと法は規定しているのか。未成年が年齢を偽って申告した場合でも、店は罰せられるのか。内川寛弁護士に聞いた。
●「店は免許証、学生証、健康保険証などで年齢確認をすべき」
内川弁護士によると、未成年者への酒類提供を禁止するのは「未成年者飲酒禁止法」だ。同法は、居酒屋やファミレス、喫茶店などの業者が、未成年が飲むと知っているのに酒を提供した場合、店側に50万円以下の罰金を科している。また、深夜営業(午前零時~日の出時)の飲食店や風俗営業者については、風営法によってさらに重い1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。
では未成年が嘘の年齢を申告した場合はどうか。
内川弁護士は「未成年者飲酒禁止法では、飲酒者の年齢を確認する義務が業者側に課せられています」と指摘する。「例えば酒類を注文した者が中学や高校の制服を着用していれば、明らかに未成年とわかります。本人が20歳だと偽ったとしても、酒類を提供した業者側の責任は免れません」という。
では、大学生など服装で判別ができない場合はどうか。年齢も18、19歳であれば、見た目での判別は不可能だろう。
内川弁護士は「新一年生が参加する新歓コンパなどでは、飲酒する者が未成年である可能性は十分にあります。店は自己申告を信用するのではなく、免許証や学生証、健康保険証などで年齢確認すべきです。確たる証拠がない場合は問題ですが、状況からして未成年である可能性を業者側が認識していれば、責任は免れないと考えるべきです」と、業者側に慎重な対応を求めていた。
(弁護士ドットコム トピックス編集部)
【取材協力弁護士】
内川 寛(うちかわ・ひろし)弁護士
あおば法律事務所 共同代表弁護士
熊本県弁護士会・司法制度調査委員会委員長,子どもの人権委員会副委員長
事務所名:あおば法律事務所
事務所URL:http://www.aoba-kumamoto.jp/