2013年04月11日 20:40 弁護士ドットコム
インターネットやフリーペーパの求人広告で、「20代の女性が中心の職場です!」といったキャッチコピーが書かれているものを見かけたことはないだろうか。職場風景をうつした写真の中で、若い「女性」がこちらに向かって笑顔をのぞかせているような広告だ。
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このような「女性」を前面に押し出した求人広告は、写真やキャッチコピーだけ見ると「女性限定」の求人のように思えてしまう。だが、「応募条件」のところを確認すると「●●ができる男女。年齢制限なし」などと記されていて、誰でも応募できるような書き方になっていたりする。
男女雇用機会均等法には、求人における男女差別を禁じた規定があり、「事業主は、労働者の募集および採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」(5条)とされている。では、「女性限定」をほのめかす求人広告はどうなのだろう。男性の労働者からみれば、「募集の均等な機会」を与えているとは言えないのではないか。波多野進弁護士に聞いた。
●求人広告で「女性限定」を使うと、男女雇用機会均等法に反する
波多野弁護士によると、求人広告の表現は、男女雇用機会均等法のほかにも、行政の解釈基準としての『指針』が定められているのだという。
「例えば、募集採用にあたって、その対象から男女のいずれかを排除することや、男女のいずれかを優先することについてです」
では、「女性限定」や、「女性が活躍」、「女性中心の職場です」などの表現は、均等法や「指針」に照らしあわせると、どうなのだろうか。波多野弁護士は「いずれも線引きは非常に難しい」としながらも、次のように説明する。
「『女性限定』という文言は、募集・採用を女性に限定するという意味にしか取ることができないため、男女雇用機会均等法の趣旨に反すると評価されざるを得ないでしょう。
『女性が活躍』や『女性中心の職場です』といった文言は、現在の職場の状況、たとえば男女比を説明しているとも解釈できます。ですから、女性のみを採用するという文言とまでは評価されない可能性が十分あると思います。
他方、『女性歓迎』は、同法の趣旨からすれば望ましくないということは言えると思います。
ただ、『女性歓迎』という文言は、男性だけでなく女性『も』歓迎しているという趣旨もありうるでしょう。また、採用する側の真の意図が男性ではなく女性『だけ』を歓迎していて男性を募集していないことにあることもありえます。したがって、一義的に決めるのは難しいと思います」
このように、求人広告の言葉づかいの線引きは難しいようだ。ある意味で、微妙な工夫がほどこされているとも言え、そのような観点から眺め直してみると、面白いかもしれない。
(弁護士ドットコム トピックス編集部)
【取材協力弁護士】
波多野 進(はたの・すすむ)弁護士
同心法律事務所。弁護士登録以来10年以上、過労死・過労自殺(自死)案件(労災・労災民事賠償)や解雇や残業代にまつわる事件に数多く取り組んできている。
事務所名:同心法律事務所
事務所URL:http://www.karoshi-rosai.com