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不倫の天罰か 給料の半分以上の「養育費」は断れない?

2013年03月26日 11:30  弁護士ドットコム

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恋愛にはいろいろなスタイルがあるが、愛した人が既婚者だったら不倫となる。不倫が明るみになったときの代償は大きい。本来のパートナーと離婚することになるケースもある。さらには、二人の間に子どもがいたとしたら、親権を争ったり、養育費でもめたりすることもあるだろう。


女性向けの匿名掲示板サービス「GIRL’S TALK」には、既婚者の男性と不倫した女性の相談が寄せられている。これによると、不倫恋愛の末、男性は相談者の女性と結婚するために離婚したという。このとき女性は、男性が結婚していると知らなかったため、慰謝料を支払う必要はなかったそうだ。


しかし、男性は、前妻から養育費などの支払いを求められており、その金額は「給料の半分以上」にのぼるという。女性は、「彼には10万円しか残りません」「この金額では結婚出来ないのが本音です」と悲痛な悩みを打ち明ける。さらに、「今後の事を考えて裁判してもいいでしょうか?それとも(不倫した)罰としてこの金額でやっていった方がいいでしょうか?」とたずねている。


このように、不倫を原因とした離婚の後に、給料の半分以上を占める養育費の支払いを請求された場合、断ることはできるのだろうか。離婚問題に詳しい堀晴美弁護士に聞いた。


●養育費の算定で考慮されるのは「夫婦双方の収入と子どもの数」


「養育費とは、子の養育に必要な費用の支払いですから、離婚に至った経緯が仮に不倫である場合でも、そうでない場合でも、事情は考慮されません。考慮されるのは、双方の収入と養育される子の数だけです」


つまり、「不倫だから養育費が多くなる」わけではないということだ。では、養育費の算定は実際にどのように行われるのだろうか。


「養育費をいくらにするかは、家庭裁判所のウェブサイトにのっている『養育費算定表』によって通常算定されます。この場合も基準となるのは、双方の収入と養育される子の数だけで、離婚に至った経緯は考慮されていません。


協議離婚の場合、養育費について、将来のことも含めて考慮して判断して決められることはなかなか難しいと思いますが、この算定表を基準に決めることがよいと思います。当事者だけだと難しいかもしれませんが、その場合は弁護士に依頼して適切な養育費を決めた方がよいと思います」


では、「GIRL’S TALK」で話題になったような「給料の半分以上の養育費」というのは合理的な金額なのだろうか。


「仮に離婚に至った経緯が不倫であっても、給料の半分以上の養育費は、算定表からしても多すぎると思います。この場合は、養育費減額調整調停の手続きを家裁に申し立てて、双方の収入を考慮して養育費を算定しなおすことが必要だと思います」


不倫の末に離婚した男性からすれば「養育費を減額してほしい」とはなかなか言いにくいのかもしれないが、養育費の減額を調整する制度があるのだから、それを利用するというのも一つの考え方だろう。


(弁護士ドットコム トピックス編集部)



【取材協力弁護士】
堀 晴美(ほり・はるみ)弁護士
企業の海外進出のサポートを主としているが、離婚、男女関係の問題も取り扱っている。「United Nations Register of Damage caused by the Construction of the Wall in the Occupied Palestinian Territory」の非常勤理事も兼務。国際政治経済が主な関心事で、毎日ジムに通うのが日課。
事務所名:堀国際企業法務法律事務所
事務所URL:http://rikonbengo.com