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タクシーで財布を拾って「自分の物」に――思い直して届ければOKか?

2013年03月20日 16:30  弁護士ドットコム

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お笑いコンビ「品川庄司」の品川祐さんがタクシーに財布を置き忘れ、何者かに持ち去られてしまったことが3月12日、明らかになった。財布の中には現金18万円のほかに結婚指輪も入っていたという。その後、六本木の路上で、財布の中に入っていたクレジットカードなどが見つかっており、品川さんのあとに乗った客が財布を持ち去ったとみられている。


タクシーに乗ったら座席に財布があった場合、それは他人の「落し物」である可能性が大きいが、そのような落し物をタクシーの運転手に報告しないで「自分の物」にしてしまった場合、罪になるのだろうか。


また、いったん自分の懐に入れかけたとしても、そのあとで思い直し、タクシー会社や警察に届けるケースも考えられる。そのような場合は、どうなるのだろうか。大和幸四郎弁護士に聞いた。


●タクシーの落し物を勝手に持ち去ると「遺失物横領罪」になる


道路に落ちている財布を拾って自分のものにしてしまった場合は、「占有を離れた他人の者を横領した」(刑法254条)として、遺失物横領罪となる。タクシーの落し物も同じようにみえるが、大和弁護士は以下のように説明する。


「落とし物は、他人の意思に基づかずその占有を離れ、誰の占有にも属していない物といえ、『遺失物』にあたります。そのため、落とし物(他人の財布)を勝手に持ち去った場合は、遺失物横領罪(刑法254条)が成立することになります」


では、他人の財布を自分の懐に入れかけて、途中で思い直した場合はどうなのか。


「いったん自分の懐に入れてしまうと、他人の占有を侵害したといえるので、遺失物横領罪の『既遂』になってしまいます。したがって、あとで思い直したとしても、遺失物横領罪が成立します。これに対して、財布を入れかけたところで思い直し、運転手さんに『財布が落ちていました』と渡した場合は『未遂』となります。この点、遺失物横領罪は未遂処罰規定がありません。よって、この場合は、無罪となります」


つまり、自分の懐に入れてしまったときは、犯罪となってしまうというのだ。そこで、大和弁護士も「財布をタクシーで見つけた場合は、すぐに運転手さんに渡すか、思い直して運転手さんに届けるのが無難だと思います」とアドバイスしている。


(弁護士ドットコム トピックス編集部)



【取材協力弁護士】
大和 幸四郎(やまと・こうしろう)弁護士
2010年4月~2012年3月、佐賀県弁護士会消費者問題対策委員会委員長。佐賀大学経済学部非常勤講師。過払い・借金問題、刑事・少年事件,離婚・不倫問題など実績多数。元「西鉄高速バスジャック事件」付添人。
事務所名:武雄法律事務所
事務所URL:http://www.takeohouritu.jp/