2013年02月28日 15:10 弁護士ドットコム
「学生支援機構から裁判予告のはがきが届いたが、どうしたらよいか?」「650万円の無利子奨学金があるが、大学院を出ても就職先がなく、返済の見込みがない」。日本弁護士連合会が2013年2月に実施した電話相談「奨学金返済問題ホットライン」には、奨学金の返済について悩みを抱える若者やその親から多数の相談が寄せられた。
日弁連は2月21日、電話相談の集計結果を発表した。それによると、2月1日を中心に全国44の弁護士会で開設したホットラインに453件の相談があった。その多くは奨学金を借りたが返済に困っている20代、30代の若者で、なかには保証人になっている親などからの相談もあった。
●「非正規職員のため、毎月の返済が苦しい」
相談内容のいくつかをあげると次のようなものだ。
「大学院博士課程に在学。650万円の無利子奨学金がある。就職先がなく、返済の見込みがない」
「離職し、アルバイト生活になったため収入が減った。今後返済が苦しくなる恐れがあるので、対策を知りたい」
「毎月の返済額を減額してもらっているが、非正規職員のため、毎月の返済が苦しい」
「息子が奨学金を受け、4年生大学を卒業したものの、卒業後、病気のため失職。まだ延滞していないが、元金が残っている。どうしたらいいか」
「支払いを遅滞したら,サービサー(債権回収会社)から督促があった。一括返済を考えているが,遅延損害金も払わなければならないのか」
「学生支援機構から裁判予告のはがきが届いたがどうしたらよいか」
奨学金の返済に困っている事情は人によって違うが、就職難やリストラといった不安定な雇用情勢もその一因となっているようだ。
●債務整理が必要な人には、法律家の専門窓口を紹介
今回、奨学金返済問題ホットラインの実施を呼びかけた岩重佳治弁護士は、自分も電話相談に応対し、返済に苦しむ若者の質問に答えた。「奨学金の制度内の救済が使えるような案件であれば、それを紹介しましたが、明らかに債務整理が必要だと判断した人には、法律家に相談する窓口を利用してもらうよう促しました」
また「子供のために奨学金の保証人になることを考えているが、返済に不安を感じている」という親からの相談も受けた。そういう人に対しては「個人保証ではなく、保証会社による機関保証を推奨しました」という。
岩重弁護士は「雇用情勢の悪化により、今の若者は非常に困難な状況にある。そのため、奨学金を返せない状況が生じているが、救済手段が充実していない。奨学金制度自体に大きな問題がある」と指摘している。
(弁護士ドットコム トピックス編集部)