2013年01月22日 11:20 弁護士ドットコム
スターバックスコーヒーが、顧客への告知なしに、国内で販売しているドリップコーヒーなど、温度の高いお湯を使うドリンクの内容量を減らしていることが、一部報道によって明らかになった。価格は従来のまま変わっていない。ショートサイズのコーヒー(300円)の場合、これまで容器の最上位から6ミリの高さまで注いでいたものを、15ミリまで減らすことが従業員のガイドラインとなったようだ。
内容量の変更についてスターバックスは、「容器いっぱいに注ぐとこぼれやすく、またミルクを入れるスペースがないなどの指摘に応えたものだ」と説明し、経費削減のためではないとしている。報道したメディアの調査によると、実際には注がれる量が規定の15ミリを下回る20ミリになっていたケースもあるようだ。
2013年1月9日現在、同社のHP上ではこの件に関して何のコメントも出ていないが、報道によれば一部の客からは不満が出ているという。それでは、もし内容量の減少を知らずにコーヒーを購入し続けた客が今回の報道によって事実を知った場合、スターバックス側に減少分に相当する額の返金を求めることは、法的に可能なのだろうか。小池拓也弁護士に話を聞いた。
●今回の減少分では、返金を求めても認められない?
「客がコーヒーを注文しスターバックスがこれに応じたとき、どのような契約が成立したと考えるかによります。仮に『容器最上位から6ミリの高さまでのコーヒーの売買契約』と考えれば、容器最上位から15ミリしかなかった場合、『9ミリ分について返金せよ』との理屈は成り立ちます。」
「しかし、この件に関しては、そこまでの契約が成立したとはいえないのではないでしょうか。おそらく『社会通念上、コーヒー1杯と評価できる量のコーヒーの売買契約』ということになり、容器最上位から15~20ミリ程度では、返金を求めても認められないと考えます。」
つまり、注がれる量が減ったといっても、コーヒー1杯の量としては十分成り立っていることから、返金を求めても認められることは難しいということだ。
なおスターバックスは、顧客が量を多めにと注文した場合には応じるとしていることから、従来通りの量を希望する人は、頼んでみるのがよいだろう。
(弁護士ドットコム トピックス編集部)
【取材協力弁護士】
小池 拓也(こいけ・たくや)
民事家事刑事一般を扱うが、他の弁護士との比較では労働事件、交通事故が多い。横浜弁護士会子どもの権利委員会学校問題部会に所属し、いじめ等で学校との交渉も行う。
事務所名:湘南合同法律事務所
事務所URL:http://shonan-godo.net/