2010年02月18日 16:02 gooランキング
ペニシリンというと、まっさきにビジュアル系バンドの「PENICILLIN」を思い浮かべる人がいるかもしれない。だが、彼らにちなむ日ではない。1990(平成2)年に発行された『奇跡の薬 ペニシリンとフレミング神話 20世紀メモリアル』(グウィン・マクファーレン著、北村二朗訳、平凡社)の「第一七章 上げ潮」に「一九四一年二月一二日、フレッチャーは適切な患者を見つけた」とあり、「ペニシリンを注射し、(中略)二四時間たたないうちに症状は劇的なまでに改善した」とある。一九四一年は昭和16年にあたる。じつはこのペニシリンを悪用した不届き者がいる。といってもそれは映画のなかでの話。有名なクラシック映画『第三の男』で、死んだとされていたハリーがやっていたことだ。その行為は物語の中盤で明らかにされる。ペニシリンに水を加え、濃度を低くしてから病人に売ったというのだ。映画を見る人たちへの配慮からだろうか、実際にどうなってしまったのかははっきりと画面には出てこない。それでも彼のしたことがいかに残忍であるかは、被害者のいる病院のシーンなどから伝わってくる。全編を通して派手な音楽もなければ、映像は白黒でもちろんCGもない。テクノロジーでは現代映画におよばないものの、後世に残る作品だ。